会長挨拶
2020年は“オリンピック・イヤー”として明るく希望に満ちた年になるはずでしたが、新年早々に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が発生し、世界中で大流行が起きています。皆様1年を通して、その対策にあたられたものと思います。改めてそのご苦労に深甚なる敬意を表させて頂きます。
その一方でCOVID-19、その原因ウイルスであるSARS-CoV-2の発生は、疫学・検査・診断・治療・予防・制御などあらゆる面で感染症を考え直す貴重な機会となり、多くの技術的な革新を生み出すきっかけになりました。
本合同学会のメインテーマは“感染症の新たな創流―ウィズコロナからポストコロナへ―”と致しました。開催時期は、厳しい冬を乗り切り、猛暑の中東京オリンピックが行われた後になります。その時点での感染症の最新情報を皆様と共有しながら、COVID-19克服のための方向性を少しでもお示しすることができればと思っております。
COVID-19が話題の中心になりますが、感染症学・化学療法学の守備範囲は広く、COVID-19以外の分野についても皆様に広く学んで頂く機会にもなりますことを願っております。
学術集会、特に地方会は第一線におられる会員の貴重な情報交換の場です。2020年の合同学会では、学会の開催形式・運営が大きく様変わりました。お互いの表情、姿や身振り、皆の雰囲気という場の空気や視覚からの情報の重要性を実感しました。一方で海外の先生のお話を、実際に日本にお招きしなくてもお伺いできることは、web開催の大きな利点でした。
今回の合同学会の開催に関しては、COVID-19の流行状況を注視しながら、安全で、実り多い機会となるように心がけて参ります。同時に感染症学、化学療法学、そして新たな学術集会の流れを創ることができますよう精一杯勤めて参ります。
皆様のご指導、ご支援をどうぞよろしくお願い申しあげます。
四柳 宏(東京大学医科学研究所 先端医療研究センター・感染症分野)
長谷川直樹(慶應義塾大学医学部感染症学教室)